花鉢ラベラー
お話を頂いたのは年の瀬でした。思い立ってお伺いする事になり猪苗代湖にあるお客様の農園に辿り着きました。ビニールハウスが一面に数十棟とあり、その全てが花苗で咲き乱れていました。
お客様は非常に良く勉強をされており、これからの農業のあり方、流通の向う方向、情報の利用と発信の大切さをお話しいただき、花苗に情報を付加する手段と してのラベリングの大切さと現在困っている事を聞かされ、気が付いたときは夜10時を回っていました。印象的だったのは夕方からちらほら降り始めた雪が見 る間に積もり、翌朝には60cmを超える積雪になっていた事で、農業にとって自然があるときは恵みであり、あるときは困難になるということ、作業は太陽と 雨、それと土を相手の仕事だという事が良く判ったように思います。
依頼を受けた仕事『花苗鉢の側面にラベルを貼る』は実に泥、水滴との戦いでした。ラベルがもっとも嫌う相手にラベ ルを貼るのですから。又、花は生き物で、高温を嫌い、形として同じ物は世の中に二つとありません。鉢も規格品とはいえガラス瓶のようにはそろってくれませ ん。土は従来のコンベアではすぐに駄目にしてしまい、問題点は一つ一つ大きく立ちふさがりました。
春の出荷の盛りを超え、機械はやっと出来上がりました。この間、お客様からは色々アドバイスを頂きました。まさに 共同開発といえるでしょう。でも納品は不安でした。ひと通りの試運転を終え、それでは連続運転をしてみようという事になり、ストップウオッチを手に花苗を一棚分連続でかけてみました。「やった」と言う声があがりました。手作業の6倍以上の能力で、ラベルが貼れたのです。
「花にラベル」、願ってもいなかったトピックに挑戦させていただき有難うございました。お買い頂いたお客様の歓声は我々にとって水であり太陽であり土だと心底思いました。
花鉢ラベラー
記念撮影